コンパス持っても行方不明

趣味嗜好の百貨店。たまに意匠の違うものが並ぶかも。

冬のオールスター

お題「おでん」

おでん、中学・高校とあまり好きじゃなかったんですよね。

正確には「冬におでんの出汁粉末で作られる父のおでん」があまり好きじゃなかった。

言うほど出汁も美味しくないし、大きなかまぼこやらさつま揚げやら入れられたところで好きこのんで食べる種じゃないし。

でも、安い舌ですね。お外で食べるおでんは最高に美味しかったんですよね。

ファミマなんか露骨に「利尻昆布とカツオの合わせだし!」を売りにしているので、割り下の色がすごく薄くてもしっかり味を楽しめる近畿圏風のおでんのテイストになっていて最高です。

一方で年末に清水のSAで食べた静岡おでんも好みでした。真っ黒な醤油の割り下ながら、タネや後掛けの魚粉によって強化された旨味が、舌の上で磯の香りと共演して楽しく踊っているんです。

おでんのちくわやかまぼこ、さつま揚げと言うと個人的には「好きでも嫌いでもないけど、ハフラをふくらませる以外の機能はない」という感想なんですが、静岡おでんは例外。その黒ずんだ色味からは予想だにしない繊細なイノシン酸の大活躍が楽しめるんです。

好きなタネは大根とスジと餅巾着。美味しい出汁を吸った味の染みやすいものをとても好みます。他には糸こんにゃく。小麦麺以上にすする感触と噛みごたえ・喉越しがよく、魚介系の旨味をいい具合に含んでいるので今流行の下手な魚介系出汁のラーメン以上にずっとすすっていたくなります。出自が九州・学を修めたのが近畿圏なので磯臭い昆布巻きや、水団でやってろと言うようなちくわぶははっきり言って理解不能です。しかし九州屋台の鉄板メニュー「餃子巻き」も、正直「飛び道具」にしか思えないレベル。

スジにしろ静岡おでんにしろ近畿系の割り下にしろ、おでんに対して動物性蛋白質の旨味を求めて食べるものだと考えているため、醤油辛かったり出汁の風味を感じられなかったりするととてもテンションが下がりますね。蕎麦・うどんも同じです。